• 8月 5, 2026

【第1回 慢性便秘症シリーズ】

毎日出なくても便秘ではない?慢性便秘症の正しい定義

「毎日出ない=便秘」ではありません

「先生、2日に1回しか便が出ません。便秘でしょうか?」

外来では、このような相談をよく受けます。

多くの方は「毎日排便しなければ健康ではない」と考えています。しかし、実は排便回数だけでは便秘とは判断できません。

毎日排便があっても、強くいきまないと出ない方や、残便感が続く方は便秘かもしれません。

反対に、2〜3日に1回でも、自然に苦痛なく排便できていれば、必ずしも便秘とはいえません。

つまり、便秘とは「何日出ていないか」だけで決まるものではないのです。

図1 ブリストル便形状スケール


慢性便秘症とはどのような病気?

日本では高齢化に伴い、慢性的な便秘に悩む方が年々増えています。

2023年に改訂された『便通異常症診療ガイドライン』では、慢性便秘症は次のような考え方で診断されます。

排便回数だけでなく、排便時の苦痛や生活への支障が続いている状態

が重要とされています。

例えば、

  • 強くいきまないと出ない
  • 便が硬くて出しづらい
  • 出し切れた感じがしない
  • 排便に長時間かかる
  • 指で便を押し出さなければならない

このような症状が続いている場合は、慢性便秘症の可能性があります。

あなたの便秘をチェックしてみましょう

□ 強くいきまないと便が出ない

□ コロコロした硬い便が続いている

□ 排便後も残った感じがする

□ 排便回数が週3回未満のことが多い

□ 便秘で生活に支障を感じている

1つでも当てはまる場合は、慢性便秘症の可能性があります。
気になる症状が続く場合は、一度ご自身の便秘を見直してみましょう。


治療の目標は「毎日出すこと」ではありません

以前は、「毎日排便すること」

が目標のように考えられていました。

しかし現在は違います。

治療の目標は

  • 無理なく排便できる
  • お腹が張らない
  • 残便感が少ない
  • 日常生活に支障がない

このような快適な排便を目指すことです。

毎日排便していても苦痛があれば治療が必要です。

反対に、毎日でなくても快適なら問題ない場合もあります。

便秘にはさまざまな原因があります

便秘は一つの病気ではありません。

例えば、

① 大腸の動きが弱くなるタイプ

高齢になると腸の動きがゆっくりになり、便が前へ進みにくくなります。

② 便が硬くなるタイプ

水分不足や食事内容、薬の影響などで便が硬くなります。

③ 出口でうまく出せないタイプ

便は直腸まで来ているのに、うまく排便できない方もいます。

つまり、原因によって治療法も変わるのです。

便秘を放置するとどうなるのでしょうか?

「便秘くらい大丈夫」

と思われる方も少なくありません。

しかし慢性便秘症を放置すると、

  • 裂肛(切れ痔)
  • 食欲低下
  • 腹痛・腹部膨満感
  • 糞便塞栓(便が詰まる状態)
  • 高齢者では生活の質(QOL)の低下

などにつながることがあります。

また、便秘の背景に

  • 大腸がん
  • 炎症性腸疾患
  • 甲状腺機能低下症
  • 糖尿病
  • 神経疾患

などが隠れている場合もあります。

そのため、「いつもの便秘」と自己判断せず、気になる症状が続く場合は医療機関へ相談することが大切です。

こんな症状があれば早めに受診しましょう

次のような症状がある場合は、慢性便秘症だけではなく重大な病気が隠れている可能性があります。

  • 血便が出る
  • 急に便秘になった
  • 体重が減ってきた
  • 貧血を指摘された
  • 激しい腹痛や嘔吐を伴う

このような場合は、早めに医療機関を受診してください。

まとめ

便秘は「毎日出ないこと」ではなく、

「気持ちよく排便できない状態」

が続くことが問題です。

現在では便秘の原因に合わせて、多くの治療法が選べるようになりました。

「年齢のせいだから」「昔から便秘だから」と我慢する必要はありません。

まずは、自分の便秘がどのようなタイプなのかを知ることが、治療の第一歩です。

次回予告

【第2回 慢性便秘症シリーズ】

「慢性便秘症ガイドライン2023で何が変わった?―便秘治療は新しい時代へ」

最新のガイドラインでは、便秘の考え方や治療法が大きく変わりました。

次回は、新しい診療ガイドラインのポイントを、できるだけ分かりやすく解説します

便秘でお困りの方へ

便秘は、排便回数だけでなく、便の硬さ、強いいきみ、残便感など、症状や原因が人によって異なります。

「年齢のせい」「いつもの便秘だから」と我慢せず、便秘が続いて生活に支障を感じる場合や、市販の便秘薬を長く使用している場合は、一度ご相談ください。

当院では、生活習慣や現在服用しているお薬、腎機能なども確認しながら、一人ひとりの状態に合わせた治療を一緒に考えていきます。

慢性的な便秘でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

▶ 問い合わせ、初診のご予約・ご相談はこちら
📞055-251-2121)(WEB予約


慢性便秘症シリーズを読む

第1回 慢性便秘症とは?
[毎日出なくても便秘ではない?慢性便秘症の正しい定義]

第2回 慢性便秘症ガイドライン2023で何が変わった?
[便秘治療は新しい時代へ]

第3回 なぜ便秘になるの?
[食事だけではない「5つの原因」]

第4回 便秘薬はどれも同じではありません
[酸化マグネシウムから新しい便秘薬まで]


文責:総合内科専門医 内藤 修

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