- 7月 29, 2026
- 7月 20, 2026
中高生のスマホ依存を改善する5つの方法
睡眠不足・昼夜逆転を防ぐ親子のルール
中高生のスマホ依存を改善する5つの方法を総合内科専門医が解説。睡眠不足、昼夜逆転、朝起きられないなどのサインと、親子で取り組める対策、医療機関への相談目安を紹介します。
この記事のポイント
・長時間使用だけで「依存症」とは判断できません
・使用時間より、睡眠や学校生活への影響が重要です
・中高生の睡眠時間は8~10時間が目安です
・スマホを一方的に取り上げず、親子でルールを作ります
・昼夜逆転や不登校、心の不調があれば早めに相談しましょう
「子どもが夜遅くまでスマホを見ている」
「何度注意してもやめられない」
「夏休みに入り、昼夜逆転しないか心配」
このような悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
スマートフォンは、連絡、学習、情報収集などに欠かせない道具です。そのため、使用時間が長いという理由だけで、直ちに「依存症」と決めつけることはできません。
大切なのは、スマホの使用によって、睡眠、学校生活、勉強、家族関係、心身の健康に支障が出ていないかを確認することです。
今回は、中高生のスマホ依存が疑われるサインと、親子で取り組める5つの改善方法を解説します。
中高生のインターネット利用は1日5~6時間以上
こども家庭庁が公表した2025年度の調査によると、インターネットを利用している中学生の平日1日当たりの平均利用時間は約5時間24分、高校生では約6時間44分でした。
これはスマートフォンだけでなく、タブレット、パソコン、ゲーム機など、複数の機器によるインターネット利用時間を合計した数値です。
長時間使用していても、必要な睡眠を確保し、学校や家庭生活に問題がなければ、必ずしも依存状態とは限りません。反対に、利用時間がそれほど長くなくても、やめようとしてもやめられず、生活に支障が出ていれば注意が必要です。
特に中高生では、インターネットの利用によって、成長期に必要な睡眠時間が削られていないかを確認することが重要です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は、個人差を踏まえながら、8~10時間を参考に睡眠時間を確保することが勧められています。
「スマホ依存」とは?
「スマホ依存症」は日常的に使われる言葉ですが、使用時間だけで診断する病気ではありません。
医療では、特にゲームについて、次のような状態が続いているかを重視します。
- 自分で使用をコントロールできない
- 勉強や睡眠、家族との時間よりスマホやゲームを優先する
- 問題が起きていると分かっていても使用を続ける
- 学校生活、家庭生活、健康などに明らかな支障が出ている
単に「スマホをよく使う」ことと、「生活に支障が出るほどやめられない」ことは分けて考える必要があります。
スマホの使い方を見直したい8つのサイン

次の項目が複数当てはまる場合は、スマホの使い方を見直してみましょう。
- 就寝時刻を過ぎても動画やSNS、ゲームを続ける
- 朝起きられず、遅刻や欠席が増えている
- 食事中や入浴中もスマホを手放せない
- 使用をやめるように言われると、激しく怒る
- 使用時間について家族にうそをつく
- 勉強、運動、趣味、人との交流が減っている
- スマホがないと強い不安や落ち着かなさを感じる
- 成績低下や居眠りがみられる
- 目の疲れ、頭痛、肩こりを頻繁に訴える
- 深夜の課金や、SNS上のトラブルが起きている
特に注意したいのは、「何時間使ったか」だけではなく、「使用によって何が失われているか」です。
中高生がスマホを手放せなくなる理由
スマホを長時間使う背景には、単なる意志の弱さだけではなく、さまざまな理由があります。
ストレスから一時的に逃れられる
勉強、部活動、友人関係、受験など、中高生も多くのストレスを抱えています。
動画やゲーム、SNSは、嫌なことを一時的に忘れさせてくれます。そのため、つらい気持ちを紛らわせる手段として、スマホの使用時間が徐々に増えることがあります。
SNSやゲームを途中でやめにくい
SNSでは新しい投稿や通知が次々と表示されます。動画も自動的に次の作品が再生され、オンラインゲームでは友人との約束やイベントがあります。
本人の意志だけでは、区切りをつけにくい仕組みになっているのです。
オンライン上が大切な居場所になっている
学校や家庭で孤立感を抱えている子どもにとって、オンライン上の人間関係が大切な居場所になっている場合があります。
このような状態でスマホだけを突然取り上げると、大切なつながりまで失われ、かえって不安や反発が強くなることがあります。
スマホの使いすぎで起こりやすい4つの問題
睡眠不足・昼夜逆転

夜遅くまでSNSや動画、ゲームを続けると、就寝時刻が遅くなり、睡眠時間が削られます。
画面の光だけでなく、通知への反応、ゲームの興奮、SNS上のやり取りなども脳の覚醒を強め、寝つきを悪くする原因になります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は個人差を踏まえながら、8~10時間の睡眠を参考に確保することが勧められています。
集中力や学習効率への影響
睡眠不足になると、日中の眠気が強まり、授業への集中や学習した内容の定着に影響します。
勉強中に通知が鳴るたびに画面を確認していると、集中が何度も中断され、机に向かっている時間の割に勉強が進まないこともあります。
「スマホが脳を壊す」と考えるのではなく、睡眠不足や頻繁な中断によって、本来の力を発揮しにくくなると理解する方が適切です。
運動不足と身体症状
スマホを使う時間が増えるほど、運動や屋外活動の時間が減りやすくなります。
長時間同じ姿勢で画面を見ることで、目の疲れ、頭痛、首や肩のこり、腰痛などが起こることもあります。
心の不調や家族関係の悪化
スマホを巡って毎日叱られていると、親子関係が「注意する側」と「反発する側」に固定されてしまいます。
一方で、長時間使用の背景に、不安、抑うつ、いじめ、不登校、発達特性などが隠れていることもあります。
スマホは問題の原因であるだけでなく、本人が抱えているつらさの結果として使われている場合もあるのです。
中高生のスマホ依存を改善する5つの方法
1.まず睡眠を守る
最初から「1日2時間まで」などと厳しく制限すると、親子の衝突が強くなることがあります。
まずは、次のような「睡眠を守るルール」から始めましょう。
- 就寝する1時間前を目安に使用を終える
- ベッドや布団の中では使用しない
- 夜はスマホを寝室の外で充電する
- 起床時刻は休日も大きくずらさない
- 朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる
夜間のスマホを減らす目的は、罰を与えることではなく、成長期に必要な睡眠を守ることです。
2.親子でルールを作る
ルールは保護者だけで決めず、子どもの意見も聞きながら作ります。
例えば、次の項目を話し合います。
- 何時まで使用するか
- 食事中はどうするか
- 勉強中の通知をどうするか
- 寝るときにどこへ置くか
- 休日はどの程度まで認めるか
- ルールを守れなかったときにどうするか
最初から完璧なルールを作る必要はありません。「まず1週間試し、うまくいかなければ見直す」という方法が現実的です。
3.ペアレンタルコントロールを利用する
スマートフォンには、使用時間やアプリの利用を管理できる機能があります。
- iPhone・iPad:スクリーンタイム
- Android:Google Family Link、Digital Wellbeing
- ゲーム機:みまもり設定
- 携帯電話会社:フィルタリングサービス
これらを利用すると、アプリごとの使用時間、夜間の利用、課金、有害サイトへのアクセスなどを調整できます。
ただし、本人に説明せず監視だけを強めると、隠れて別の端末を使うなど、対立が深まることがあります。何を確認し、なぜ制限するのかを事前に共有しましょう。
4.スマホ以外の楽しみと居場所を増やす
スマホを減らすだけでは、空いた時間に何をすればよいか分からなくなります。
- 散歩やスポーツ
- 音楽、読書、料理
- 家族での外出
- 友人と直接会う時間
- 家庭での役割
- 安心して相談できる場所
本人が楽しめる活動を一緒に探しましょう。
また、保護者も食事中にはスマホを置くなど、家族全体で取り組むと受け入れられやすくなります。
5.背景にある悩みを聞く
「スマホをやめなさい」と繰り返すだけでは、長時間使用の背景にある問題を見逃してしまいます。
叱る前に、次のように尋ねてみてください。
最近、学校で困っていることはない?
夜、眠れない理由が何かある?
スマホを見ていると、どんな気持ちが楽になる?
本人を責めずに話を聞くことが、改善の第一歩になることがあります。
家庭だけで対応するのが難しい場合は、学校の担任、養護教諭、スクールカウンセラー、かかりつけ医、小児科、児童精神科などに相談しましょう。
医療機関へ相談した方がよいサイン
次のような状態がみられる場合は、単なるスマホの使いすぎとして済ませず、早めの相談が必要です。
- 昼夜逆転が続き、学校へ行けない
- 朝起きられず、遅刻や欠席が増えた
- 食欲低下や体重減少がある
- 気分の落ち込みや強い不安が続く
- 家族への暴言や暴力がみられる
- 高額な課金を繰り返す
- 自傷行為や「消えたい」などの発言がある
- いびき、無呼吸、強い日中の眠気がある
特に自傷行為や自殺をほのめかす発言がある場合は、スマホのルールよりも安全確保を優先し、速やかに医療機関へ相談してください。
まとめ
スマートフォンは、中高生にとって学習や友人との交流に欠かせない道具です。大切なのは、スマホを悪者にすることではありません。
スマホの使用によって、睡眠、学校生活、心身の健康、家族との関係が損なわれていないかを確認しましょう。
改善のポイントは、次の5つです。
- 使用時間より先に睡眠を守る
- 親子で実行可能なルールを作る
- ペアレンタルコントロールを活用する
- スマホ以外の楽しみと居場所を増やす
- 背景にある悩みを聞き、必要なら相談する
一度にすべてを変える必要はありません。まずは「寝室にスマホを持ち込まない」「夜は決まった場所で充電する」など、実行しやすいことを一つ選んで始めてみましょう。
順聖クリニックへご相談ください
順聖クリニックでは、総合内科の立場から、スマホの長時間使用に伴う睡眠不足、昼夜逆転、朝起きられない、日中の強い眠気などについてご相談を受けています。
症状の背景に睡眠障害や身体疾患がないかを確認し、必要に応じて専門医療機関とも連携します。
「スマホをやめさせたい」という問題だけではなく、「なぜ夜に眠れないのか」という視点から一緒に考えていきましょう。
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参考資料
文責:総合内科専門医 内藤 修
