- 9月 5, 2026
🌿 第2回 漢方シリーズ
「証(しょう)」って何?
~同じ病気でも処方が違う理由~
「同じ頭痛なのに、違う漢方薬が処方されることがあります。」
初めて漢方を受ける方は、不思議に思われるかもしれません。
西洋医学では病名、漢方では証に対して治療薬を選ぶことが一般的です。
例えば、高血圧なら降圧薬、胃潰瘍なら胃酸を抑える薬というように、「病気」に合わせて薬を選びます。
一方、漢方では病名だけでは処方を決めません。
患者さん一人ひとりの体質や、その時の体の状態を総合的に判断して漢方薬を選びます。
この考え方を「証(しょう)」と呼びます。
「証」とは何でしょう?
「証」とは、
その人の現在の体のバランスや体質を表すもの
と考えると分かりやすいでしょう。
同じ病気でも、
- 冷えやすい人
- 暑がりの人
- 疲れやすい人
- 体力がある人
では、体の状態はそれぞれ違います。
漢方では、その違いを大切にして薬を選びます。
図1. 同じ症状でも「証」が違えば選ぶ漢方薬も変わります

例えば同じ頭痛でも、Aさんは冷えや疲れやすさが目立ち、
Bさんはのぼせや肩こりが強いかもしれません。
頭痛という症状は同じでも、
体の状態は全く違うため、
選ぶ漢方薬も変わるのです。
これが漢方診療の特徴です。
「証」はどのように判断するのでしょうか?
漢方では、
患者さんを総合的に診察して「証」を判断します。
そのために行われる基本的な診察方法を
「四診(ししん)」
といいます。
図2. 「証」は4つの診察から判断します

四診とは、
① 望診(ぼうしん)
顔色や表情、舌の色や形など、
目で見て分かる情報を観察します。
② 聞診(ぶんしん)
声の大きさや話し方、
咳や呼吸の状態、
においなども参考にします。
③ 問診(もんしん)
現在の症状だけではありません。
睡眠、食欲、便通、
冷えや暑がり、
生活習慣など、
さまざまなお話を伺います。
④ 切診(せっしん)
脈を診たり、
お腹の張りや硬さなどを確認します。
これら4つの診察を組み合わせ、
患者さん一人ひとりの「証」を判断していきます。
「証」はその日の体調でも変わります
「証」は一生変わらないものではありません。
季節や年齢、
睡眠不足やストレス、
病気の回復過程などによって変化します。
以前は体力があった方でも、
年齢とともに疲れやすくなれば、
処方が変わることもあります。
漢方薬を飲み続けて体質が改善すると、
以前とは違う漢方薬が合うようになることも珍しくありません。
その時々の体調に合わせて処方を見直していくことも、漢方診療の大切な特徴です。
「自分に合った漢方薬」を見つけるために
「この漢方薬が一番効く薬」
というものはありません。
大切なのは、
今の自分の体の状態に合っていることです。
そのため、同じ病名でも違う漢方薬が処方されることがあります。
漢方は、
患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイド医療とも言えるでしょう。
まとめ
漢方では病名だけではなく、
患者さん一人ひとりの体質や体の状態を表す「証」を大切にしています。
四診によって「証」を判断し、
その方に最も合った漢方薬を選びます。
これが、漢方診療の大きな特徴であり、「同じ病気でも処方が違う理由」
なのです。
次回予告
🌿 第3回 漢方シリーズ
「気・血・水」とは?
~漢方医学の基本をやさしく解説~
今回ご紹介した「証」は、漢方医学の大切な考え方です。
次回は、その「証」を理解するために欠かせない「気・血・水(き・けつ・すい)」について解説します。
「なんとなく疲れやすい」「冷えやむくみが気になる」などの症状を、漢方ではどのように考えるのか、一緒に見ていきましょう。
漢方薬について、このようなお悩みはありませんか?
- 西洋薬だけでは症状がなかなか改善しない
- 冷えや便秘、食欲低下などが続いている
- 更年期症状で困っている
- 漢方薬が自分に合うのか相談してみたい
漢方薬は、
患者さん一人ひとりの症状や体質に合わせて処方する「医療用医薬品」です。順聖クリニックでは、西洋医学による診断を基本としながら、必要に応じて漢方薬も組み合わせ、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
▶ 問い合わせ、初診のご予約・ご相談はこちら
(📞055-251-2121)(WEB予約)
漢方薬シリーズを読む
第1回 漢方薬ってどんな薬?
[~西洋医学と組み合わせる、現代の漢方診療~](公開中)
第2回 「証(しょう)」って何?
[~同じ病気でも処方が違う理由~](公開中)
第3回 「気・血・水」とは?
[~漢方医学の基本をやさしく解説~](公開予定)
第4回 更年期に使う漢方薬
[~同じ更年期でも、選ぶ漢方薬が違う理由~](公開予定)
第5回 頭痛・めまいに使う漢方薬
[~同じ頭痛・めまいでも、選ぶ漢方薬が違う?~](公開予定)
第6回 胃腸の不調に使う漢方薬
[~食欲不振・胃もたれ・お腹の張りを漢方で考える~](公開予定)
第7回 便秘に使う漢方薬
[~便秘のタイプによって選ぶ漢方薬は違う?~](公開予定)
第8回 疲れ・体力低下に使う漢方薬
[~補中益気湯・人参養栄湯・六君子湯をどう使い分ける?~](公開予定)
第9回 不眠・不安・イライラに使う漢方薬
[~眠れない・不安・イライラを漢方ではどう考える?~](公開予定)
第10回 (公開予定)
第11回 (公開予定)
第12回 (公開予定)
第13回 (公開予定)
文責:総合内科専門医 内藤 修
