- 2月 23, 2026
内科専門医が解説:健康的に痩せるための5つの戦略
第4回
ビタミン・ミネラルの役割とは?不足・過剰のリスクと「第6の栄養素」食物繊維まで解説
三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)は、体を動かすエネルギー源として重要な栄養素です。しかし、これらの栄養素だけでは体の機能は円滑に働きません。
そこで重要になるのが「ビタミン」と「ミネラル」です。
これらはエネルギーを生み出す栄養素ではありませんが、体内の代謝反応を調整し、健康維持を支える“潤滑油”のような役割を担っています。不足しても、過剰に摂取しても、体調不良や健康障害につながる可能性があるため、正しく理解しておくことが大切です。
ビタミン・ミネラルとは何か
図① 五大栄養素の役割

ビタミンとミネラルは、五大栄養素のうち「体の調子を整える栄養素」に分類されます。糖質や脂質のようにエネルギー源にはなりませんが、体内で行われる数多くの代謝反応を支えています。
例えば、糖質をエネルギーに変換する過程、脂質代謝、タンパク質合成など、ほぼすべての代謝にビタミン・ミネラルが関与しています。
また、これらの多くは体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンの基礎知識

ビタミンは大きく2種類に分類されます。
脂溶性ビタミン
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
以上の4種類が該当します。
脂溶性ビタミンは脂肪とともに吸収され、体内の脂肪組織や肝臓に蓄積されます。そのため、不足だけでなく過剰摂取にも注意が必要です。
水溶性ビタミン
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ナイアシン(ビタミンB3)
- パントテン酸(ビタミンB5)
- ビオチン(ビタミンB7)
- 葉酸(ビタミンB9)
- ビタミンC
ビタミンB群およびビタミンCの9種類が該当します。
水に溶けやすく体内に蓄積されにくいため、余剰分は尿として排泄されます。ただし、大量摂取では消化器症状や神経障害などが生じることがあります。
ビタミン不足・過剰のリスク

ビタミンが不足すると、以下のような症状がみられることがあります。
- 倦怠感
- 免疫機能低下
- 代謝機能異常
- 神経機能障害
- 貧血
- 皮膚・粘膜障害
- 髪・爪障害
- DNA合成障害
- 抗酸化作用低下など
一方、サプリメントなどによる過剰摂取では、
- 高カルシウム血症(ビタミンD過剰)
- 神経障害(ビタミンB6過剰)
- 肝障害
- 消化器症状
などが報告されています。
「体に良いから多く摂るほど良い」という考えは誤りであり、適量摂取が重要です。
ミネラルの基礎知識

ミネラルは体内に存在する無機質で、骨・血液・神経・筋肉などの機能維持に不可欠な栄養素です。
体内で合成できないため、食事からの摂取が必須となります。
主要ミネラル
比較的多く必要とされるミネラル7種類です。
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
- イオウ
- 塩素
体液バランス、骨・歯形成、神経伝達、筋肉収縮、代謝機能、血圧調整、タンパク質合成などに関与します。
微量元素
少量で重要な働きを担います。以下の9種類があります。
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- セレン
- ヨウ素
- マンガン
- クロム
- モリブデン
- コバルト
造血、免疫機能、代謝機能、酵素反応、骨形成、抗酸化作用、神経機能、味覚維持、甲状腺ホルモン生成などに不可欠です。
特に注意したいミネラル
臨床的に重要度が高いミネラルをいくつか挙げます。
鉄
不足すると鉄欠乏性貧血などを生じ、動悸や倦怠感の原因となります。一方、過剰摂取では臓器へ沈着、胃腸障害などのリスクがあります。
亜鉛
免疫機能、味覚、皮膚、酵素活性、ホルモンバランスなどに関与します。不足で心不全や2型糖尿病の悪化など、過剰で銅やマグネシウム欠乏、前立腺がんリスクなどをきたします。不足・過剰も健康に影響します。
カリウム
血圧調整、神経伝達、水分バランス調整などに重要ですが、腎機能低下例では高カリウム血症による不整脈などに注意が必要です。
食事から摂ることが基本

ビタミン・ミネラルは、まず食事からの摂取が基本です。
多く含まれる食品例
- 野菜類
- 海藻類
- 豆類
- 魚介類
- きのこ類など
これらを組み合わせることで、栄養バランスを整えやすくなります。
極端な食事制限や偏食は、栄養不足の原因となるため注意が必要です。
【コラム】食物繊維は第6の栄養素?
食物繊維は「第6の栄養素」として近年注目されています。
五大栄養素のようにエネルギー源にはなりませんが、健康維持に不可欠な働きを担うことが明らかになってきています。
食物繊維はヒトの消化酵素では分解されません。しかしその性質こそが重要で、腸内環境の改善、血糖値の上昇抑制、コレステロール低下、便通改善、脳腸相関など、多面的な作用を発揮します。生活習慣病予防との関連も多く報告されています。
食物繊維には大きく「水溶性」と「不溶性」があります。
水溶性食物繊維は海藻類、果物、納豆などに多く、血糖値の急上昇を抑え、腸内細菌の栄養源となります。
不溶性食物繊維はごぼう、きのこ類、穀類などに多く、便のかさを増やして腸を刺激し、排便を促します。両者をバランスよく摂取することが重要です。

現代の日本人の食物繊維は1日あたり約3〜5g不足しているとされており、また野菜も1日350g以上必要とされておりますが不足が懸念されています。意識的な摂取が必要です。主食を白米からもち麦や玄米に替える、味噌汁に海藻を加えるなど、小さな工夫の積み重ねが効果的です。
食物繊維は代謝そのものを助けるわけではありませんが、体内環境を整えることで健康を土台から支える存在です。今後さらに注目される栄養素と言えるでしょう。
腸内環境や短鎖脂肪酸との関係については、次回詳しく解説します。
サプリメントは必要か?
通常のバランスの取れた食事を摂取できていれば、ビタミン・ミネラルサプリメントは必須ではありません。
しかし、
- 偏食
- 高齢者
- ダイエット中
- 慢性疾患
などでは不足する場合もあります。
そのような場合には、必要性を個別に判断することが重要です。
サプリメントについては、次回詳しく解説します。
まとめ
ビタミン・ミネラルはエネルギー源ではありませんが、体の代謝や健康維持を支えるために不可欠な栄養素です。また近年、食物繊維の重要性も認識されています。
ビタミン・ミネラルは不足すれば体調不良を招き、過剰摂取では健康被害が生じる可能性もあります。まずは食事からバランスよく摂取し、必要に応じて医療的視点で補充を検討することが重要です。
栄養バランスやビタミン・ミネラル不足が気になる方へ
健康診断や血液検査で「貧血」「電解質異常」「栄養状態の異常」を指摘されたことはありませんか?
ビタミンやミネラルは不足だけでなく、過剰摂取によっても健康に影響を及ぼすことがあります。特にサプリメントを使用している場合は、成分の重複や過量摂取に注意が必要です。
症状がなくても、検査で初めて異常が見つかるケースは少なくありません。
栄養状態は血液検査で客観的に評価できます。
当院では、血液検査による栄養状態の評価、食事内容の確認、必要に応じた栄養指導やサプリメントの適否判断を行っています。
気になる症状や検査異常がある方は、お気軽にご相談ください。
文責:総合内科専門医 内藤 修
