- 2月 15, 2026
内科専門医が解説:健康的に痩せるための5つの戦略
第1回
食欲はホルモンで決まる:グレリン・レプチン・GLP-1
「頑張っているのに痩せない」
「食事制限をしているのに空腹がつらい」
このような経験はありませんか?
食欲は意志ではなく、「ホルモン」に大きく左右されています。
ダイエットを成功させるためには、食欲を調整するホルモンの働きを理解し、味方につけることが重要です。
代表的なホルモンは次の3つです。
・グレリン(空腹ホルモン)
・レプチン(満腹ホルモン)
・GLP-1(食後満腹ホルモン)
それぞれの役割をみていきましょう。
食欲を調整する3大ホルモン+αのイメージ図

【食欲を増やすホルモン:グレリン】
グレリンは主に胃から分泌され、脳の視床下部に作用して空腹感を生じさせます。
食事前に増加し、食後にゆっくり低下するのが特徴です。
また、成長ホルモン分泌促進や消化管運動調節など、エネルギー代謝にも関与します。
睡眠不足、ストレス、過度な食事制限ではグレリンが増え、強い空腹感につながります。
【食欲を抑えるホルモン:レプチン】
レプチンは脂肪細胞から分泌され、満腹中枢に作用して食欲を抑えます。
体脂肪量に応じて分泌され、体重を一定に保つ働きを担います。
しかし肥満では「レプチン抵抗性」が生じ、十分に分泌されていても効きにくくなります。
ゆっくり(20分程度かけて)食べることでレプチン分泌が行われ満腹中枢が働きやすくなり、過食予防につながります。
【食後満腹に関わる:GLP-1】
GLP-1は小腸から分泌されるインクレチン(消化管ホルモン)の1種です。
・インスリン分泌促進
・胃排出遅延
・食欲抑制
といった作用により、食後の満腹感を持続させます。
30回程度よく噛んで食べる、食物繊維やタンパク質を摂るなどの食習慣は、消化管ホルモン分泌を促し食欲コントロールに役立ちます。
| ホルモン | 分泌部位 | 主な作用 | 増加要因 |
| グレリン | 胃 | 食欲増進 | 睡眠不足 |
| レプチン | 脂肪細胞 | 食欲抑制 | 摂食20分 |
| GLP-1 | 小腸 | 食後満腹 | 30回噛む |
食欲ホルモンを整えるために重要なのは次の習慣です。
- 1日3食規則正しく食べる→食欲をコントロールするホルモン「レプチン」と「グレリン」のバランスが整えられる
- 朝にタンパク質を摂る→朝にタンパク質(目安:20g以上)摂ると満腹感をもたらす・痩せホルモン「GLP-1」の分泌が促され、食欲増進ホルモン「グレリン」が抑制されるため、昼食までの満腹感が持続し、また1日を通した食べ過ぎや間食が自然に抑えられ、朝の筋肉合成を促し代謝を高める効果も期待できる
- 20分程度かけて食べる→脂肪細胞から満腹ホルモン「レプチン」が分泌され、脳に満腹のシグナルを伝えて食べ過ぎが抑制される
- 30回程度よく噛む→小腸から満腹感をもたらすホルモン「GLP-1」が分泌され、脳に満腹のシグナルを伝えて食べ過ぎが抑制される
- 食物繊維を増やす→食欲を抑制する・痩せホルモン「GLP-1」や「レプチン」の分泌・働きを促進する
- 食事の間隔を規則的にする→体内時計を整え、食欲をコントロールするホルモン「レプチン」と「グレリン」のバランスを正常化する
- 十分な睡眠→食欲を抑えるホルモン「レプチン」を増やし、食欲を高めるホルモン「グレリン」を減らす
- 適度な運動→食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌を抑制し、満腹感をもたらすホルモン「GLP-1」の分泌を促す
- ストレス管理→ストレスホルモン「コルチゾール」による食欲増進を抑制し、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の低下を防ぐ
【早食いはダイエットの敵】
早食いでは満腹シグナルが働く前に食べ過ぎてしまいます。
血糖値も急上昇し、脂肪蓄積につながります。
食事は「量」だけでなく「速度」も重要です。

【まとめ】
・食欲は意志ではなくホルモンに支配される
・グレリンは空腹、レプチン・GLP-1は満腹に関与
・生活習慣で分泌バランスは改善可能
ダイエット成功の第一歩は、食欲の仕組みを知ることです。
【食欲や体重でお悩みの方へ】
「食事量は多くないのに痩せない」
「空腹感が強くダイエットが続かない」このような場合、生活習慣だけでなくホルモンバランスや体質が影響している可能性があります。
症状がなくても、検査で初めて異常が見つかるケースは少なくありません。
栄養状態は自覚症状だけでは判断できません。血液検査により、貧血、蛋白栄養状態、電解質バランスなどを客観的に評価することが可能です。
当院では、生活習慣病の管理や体重コントロールに関するご相談、必要に応じた血液検査・内分泌評価なども行っております。
気になる症状がある方は、お気軽に外来でご相談ください。
次回は「痩せない人の共通点とダイエットの原則」について解説します。
文責:総合内科専門医 内藤 修
