睡眠時無呼吸症候群

SAS専門外来
睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome: SAS) とは、睡眠中に10秒以上の無呼吸と低呼吸が1時間あたり5回以上繰り返される病気です。
当院では、2007年に「睡眠呼吸センター」を開設しました。2025年5月までに700件以上の一泊二日入院PSG精密検査実績と豊富な治療経験を有しております。
日本睡眠学会や日本呼吸器学会などの情報や豊富な経験を生かし、治療方法のアドバイスを行っております。例えば、例えば、良い枕の選び方、飲酒やスマホ検索・閲覧や入浴などを睡眠何時間前から避けるべきか、減量の意義、治療せずに寝落ちを防ぐ方法、理想的な睡眠時間と睡眠12箇条、CPAP不具合の解決策、CPAPを何時間以上・何%以上使用すると合併症を予防しやすいか、CPAP治療を終了する際の目安と検査について、CPAP治療中の呑気症・腹部膨満感への対応、及びCPAP以外の治療法についても説明しております。
軽症例では約3年間劣化しないといわれるマウスピース作成を口腔外科に依頼するほか、口蓋垂が狭い方へは有効率約60%といわれる耳鼻咽喉科での口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を推奨しております。さらに、舌下神経電気刺激療法とは何かについても説明し、具体的な治療提案やご不安の相談に応じております。
SASの症状
日中の眠気、朝の頭痛や疲れ、夜間頻尿、家族などに指摘されるイビキと呼吸停止、肥満症、首が太く短い方、アゴが小さい方、舌根部が大きい方、口蓋垂が狭い方、扁桃腺が大きい方、生活習慣病があり日中に倦怠感が強い方などは、SASの可能性が高いです。 なるべく早く、経験豊富な専門医による詳しいPSG精密検査を受けることが、各種合併症を予防し健康寿命を延ばすため、交通事故や日中の集中力低下を防ぐため、うつ病や認知症などを予防するためにも重要です。 適切な治療を設定するために、簡易PSG検査結果のみで方針を決めることはまれです。PSG精密検査が受けられる医療機関を選びましょう。
SASの疫学
日本睡眠学会は、日本人でSASに罹患している軽症を含めた方は約2,200万人おり、約940万人にCPAP治療が必要と報告しています。 男女30歳~60歳の7人に1人がSASの治療が必要であり、そのうち肥満が原因ではない方は約40%と報告しています。 また、自覚が無い方や検査と治療が面倒な方、比較的高いCPAP治療費を払いたくない方などが多く、実際に治療を受けている方は未だ70万人未満にすぎないと警鐘を鳴らしています。 医療費も気になりますが、ご自身の命が最も大切です。
SASの合併症
合併症は多彩で、高血圧症、糖尿病、突然死、異型狭心症、急性心筋梗塞、大動脈解離、脳梗塞、動脈硬化症、慢性腎臓病、慢性心不全、心房細動などの不整脈、逆流性食道炎、ED、うつ病、認知症、その他にも様々な合併症の危険性が高いとされています。
SASの生存率
厚生労働省研究班の調査では、睡眠1時間あたりの無呼吸数と低呼吸数が20回以上ある場合、5年生存率は84%、8年生存率は63%、 無呼吸数と低呼吸数が30回以上の重症の場合は、8年生存率が60%と報告しています。SAS治療中の方が生命保険に加入できないことが多い実情は、早期の死亡率がとても高いためです。
SAS診療の流れ
診察や説明後に、簡易PSG検査やPSG精密検査(正確な重症度判定や脳波検査による睡眠の質を測定)の検査日の調整を行います。
近年、入院でのPSG精密検査のほかに、自宅でのPSG精密検査も可能になっています。
PSG精密検査の結果を受けて、治療方針等を説明させていただきます。
※睡眠時無呼吸症候群に関しては、インターネットの予約ではなく、電話または診察時に予約・お問い合わせください。