• 1月 18, 2026

鼻づまり時のCPAP使用法(SASの方へ)

「鼻が詰まって苦しい」「いつの間にか口で呼吸していて喉がカラカラになる」といったお悩みを抱える方も少なくありません。これらの症状は治療の継続を妨げるだけでなく、CPAP療法の効果を低下させる可能性もあります。

CPAPの空気圧による鼻粘膜の乾燥と刺激

CPAP装置から送られてくる空気は室内の空気を取り込んでいるため、特に乾燥した季節や環境では鼻の粘膜を乾燥させやすい傾向があります。鼻の粘膜が乾燥すると防御機能が低下し、わずかな刺激にも敏感に反応して炎症や腫れを起こし、結果として鼻づまりを感じやすくなります。

鼻炎の種類とCPAPへの影響

アレルギー性鼻炎:アレルゲン対策、抗アレルギー薬の使用、加湿の使用を行います。抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬(アンブロキソール塩酸塩徐方錠)などによる内服治療、ステロイド点鼻薬で治療することが一般的です。点鼻薬の種類によっては長期使用に適さないものもあります。市販の血管収縮点鼻薬は鼻づまりに即効性がありますが、「薬剤性鼻炎」を起こしやすくかえって鼻づまりが悪化することがあるため、医師の指示に従ってください。

また、空気中の花粉や微粒子をブロックする専用フィルターが重要で、定期的なフィルター交換(3~6ヶ月ごと)清掃(水洗い)を行います。ほこりや花粉をブロックしてきれいな空気を送る「標準フィルター」と、症状がひどい方には細かい粒子(タバコの煙など)もブロックする使い捨てタイプの極細「ウルトラファイン」があります。専用フィルターは、機器メーカーのコールセンターに連絡して新しいものを送ってもらいましょう。Amazonや楽天市場などで互換性のあるフィルターも販売されています。

副鼻腔炎:鼻腔内の構造的問題や持続する炎症による鼻閉の増悪の場合、対処法は耳鼻咽喉科での専門的治療・鼻洗浄などが重要です。

血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー性鼻炎):対処法は加温加湿の利用、刺激の回避が必要です。抗アレルギー薬も使用します。

アレルギー性鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)の存在と悪化

アレルギー性鼻炎や蓄膿症(慢性副鼻腔炎)など、以前から鼻に何らかの炎症性の疾患を抱えている場合は、CPAPの使用がこれらの症状を悪化させ、鼻づまりを強く感じさせることがあります。アレルギー性鼻炎40%は蓄膿症が存在すると報告されています。なかなか鼻づまりが治らない場合には耳鼻咽喉科を受診することが重要です。蓄膿症(副鼻腔炎)は、そのまま点鼻薬使用などで放置していても簡単には治りません。耳鼻咽喉科でのネブライザー療法や吸引療法などでは、抗生物質やステロイドなどの薬剤を鼻や喉の奥に直接届ける治療です。

大石耳鼻咽喉科クリニックより

CPAP装置の空気圧設定

設定圧が高すぎると、鼻粘膜への刺激が強くなりすぎて鼻づまりや不快感を引き起こすことがあります。逆に圧が低すぎると気道の閉塞を十分に防げず、無意識に口呼吸を誘発し、結果として鼻の乾燥や鼻づまりにつながることも考えられます。適切な圧設定は、治療効果と快適性の両立のために重要です。

マスクフィッティング不良と空気漏れ

CPAPマスクが顔に正しくフィットしていないと隙間から空気が漏れることがあります。この空気漏れが目や鼻の周囲に当たると乾燥や刺激を引き起こし、鼻づまりの原因となることがあります。特にマスクのサイズが合っていない、ストラップの締め付けが緩すぎる、あるいはきつすぎるといった場合に空気漏れは起こりやすいです。

CPAP使用時の口呼吸 、その原因と問題点

CPAP療法は基本的に鼻呼吸を前提としていますが、様々な理由で口呼吸になってしまうことがあります。CPAP中の口呼吸は治療効果を損なうだけでなく、不快な症状を引き起こすため対策が必要です。鼻づまりが生じると鼻からの空気の通りが悪くなるため、無意識のうちに口で呼吸しようとします。鼻づまりが解消されない限り、口呼吸を改善することは難しいです。元来、睡眠中に口が開きやすい癖がある方や、加齢などにより口周りの筋力が低下している方は、CPAP使用中にも無意識に口が開いてしまうことがあります。

口呼吸が引き起こす不快症状

喉の乾燥、痛み、イガイガ感、②朝起きた時の強い口渇や喉のカラカラ感、③口臭の悪化、④多量のよだれなど。これらの症状は睡眠の質を低下させ、CPAP治療の継続を困難に感じさせる原因となります。

CPAP中の口呼吸を防ぐための効果的なアプローチ

チンストラップ(顎固定バンド)の活用:チンストラップは下顎を軽く持ち上げて口が開くのを物理的に防ぐためのバンドです。睡眠中に無意識に口が開いてしまう方や、鼻呼吸はできているも口がわずかに開いて空気が漏れてしまう場合に有効なことがあります。

フルフェイスマスクへの変更:どうしても鼻呼吸が難しく、口呼吸が主体となってしまう場合、鼻と口の両方を覆うフルフェイスマスクへの変更を検討することも一つの方法です。フルフェイスマスクは顔への接触面積が大きいため圧迫感を感じやすい空気漏れしやすい、そして呑気症・エアスワロー(空気を嚥下・食べてしまい、胃腸にガスが大量に溜まり、ゲップ・腹部膨満感・オナラが増える)などデメリットもあります。また、嘔吐反射が強い方には不向きな場合もあります。

口腔内保湿剤や口閉じテープの使用:口呼吸による喉の乾燥が強い場合口腔内保湿ジェルを使用することで不快感を和らげることができる場合があります。また、市販されている口閉じテープを使用する方法もありますが、鼻が確実に通っていることが前提となりますので医師に相談してください。

CPAP加温加湿器の適切な使用

CPAP加温加湿器の使用は、①鼻・喉の乾燥緩和:CPAPから送られる乾燥空気が原因で起こる喉の渇きや鼻の乾燥を防ぎます。②粘膜刺激の軽減:冷たい空気や乾燥による鼻粘膜への刺激を和らげます。③鼻づまりの改善:鼻腔の血管収縮を防ぎ、通りを良くすることで、鼻づまりが起きにくくなります。④分泌物の排出促進:適切な加湿により、粘り気のある分泌物を排出しやすくします。⑤治療の忍容性向上:不快感が減ることで、CPAPを中断せずに夜通し使用しやすくなり、治療効果を高めます。

適切な「湿度」設定:季節や室内の乾燥状態に合わせて湿度レベルを調整します。鼻粘膜の乾燥を防ぎ、刺激を軽減できます。加湿器の設定は低すぎると効果が薄く、高すぎるとチューブ内に結露が生じやすくなるため、最適な設定を見つけることが大切です。②適切な「温度」設定:加温機能で空気を暖めることで、冷たい空気による刺激を避けます。③精製水の使用:CPAP加湿器のチャンバー(水タンク)には、水道水ではなく精製水を使用します。ミネラル成分による装置の劣化・誤作動・故障や雑菌繁殖を防ぐことができます。ミネラルウォーターもミネラル分が多いため避けましょう。

CPAP圧の調整

CPAPの空気圧が高すぎることが鼻づまりの原因となっている場合、設定圧を見直す必要があります。快適性のバランスを考慮して適切な圧を再評価します。また、CPAP使用中に圧が高くなり着けていられなくなる場合、使用開始後の一定時間は低圧でエアを送る「ランプ機能」や、呼気時のタイミングに合わせて圧力を下げる「EPR機能」があります。

遠隔リモート操作で設定変更可

マスクの見直しと正しい装着方法の習得

マスクのフィッティング不良や空気漏れが鼻づまりを引き起こしている場合、マスクの種類やサイズを見直すことが有効です。顔の形や鼻の高さ等は人それぞれですので、ご自身に合ったマスクを選ぶことが重要です。また、マスクの装着方法が正しくないと適切なフィット感が得られず空気漏れの原因となります。専門の医療スタッフから正しい装着方法の指導を受け、毎晩確実に装着できるように練習しましょう。当院では、CPAPの「取り扱い」という点で直接的な知識・技術を証明する「認定CPAP療法士」の資格を持つ看護師もおります。

コスパが良い精製水について

サンエイ化学の精製水比較的安価でおすすめです。AmazonなどECショップよりも、サンエイ化学の公式サイトからオンラインで購入する方がお得です。

2,000mlを6本程度が丁度よいかと思案しますが、加湿度により必要量は異なります。当院は、サンエイ化学株式会社と利害関係は一切ありません当院で、医薬品卸売販売業者から精製水を購入すると、ドラッグストアよりも仕入れ価格が高くなるため、院内では精製水の販売は行っておりません。

寝室の湿度管理

空気が乾燥する季節(秋から春先)は寝室の湿度管理も重要です。室内の加湿器を使用し、寝室の湿度50~60%程度に保つよう考慮しましょう。

CPAP関連用品の清掃頻度目安

マスククッション部分毎日の手入れが必要です。ノンアルコールタイプのお手拭きウェットシート清拭シートなどを利用しましょう。また、週に1回程度マスクを分解して、マスク全体をぬるま湯と中性洗剤でやさしく手洗いしてください。

マスクフレーム・ヘッドギア週に1回程度、ぬるま湯と中性洗剤で手洗いましょう。

エアチューブ週に1回程度、ぬるま湯と中性洗剤で洗浄してください。その後は水でよくすすぎ雑菌やカビが繁殖しないように直射日光のあたらない場所で「フックにかける」などで、自然乾燥をさせてください。加温加湿用の「ヒーテッドチューブ」は、結露で濡れることも想定されており水洗いで濡らしても大丈夫ですが、内部にヒーター線があるので加温器本体との接続部はなるべく濡らさないよう注意が必要です。また、チューブに亀裂や破損などを確認した場合は、直ぐにコールセンターへお問い合わせください。

冬場で結露ができやすい方は、毎朝エアチューブをフックにかけて、中に付着した結露(水滴)を抜き切って自然乾燥させてください。エアチューブ内に結露がついて、寝ている最中に顔へ水滴が垂れてくる場合には、2mのチューブの半分を布団の中にはわせて温める、または就眠中も部屋に暖房をつけておきエアチューブ内外の温度差をなくしてみてください。尚、フックやフィルターなどもAmazonや楽天市場などのオンラインストアで購入が可能です。

ヒーテッドチューブ

フックは市販品です

機種により位置は異なります

加湿器チャンバー(水タンク)毎日、チャンバーを水道水でよくすすいで精製水も毎日交換しましょう。継ぎ足しはNGで、古い水は捨ててから新しい精製水を入れます。

装置フィルター月に1~2回清掃、または定期交換(機種による)を行いましょう。

具体的な清掃方法はお使いのCPAP装置の取扱説明書を確認する・コールセンターに問い合わせる、医師や専門医療スタッフに相談してください。

鼻うがいケアの導入

鼻炎症状がある方や鼻が乾燥しやすい方は、日常的な鼻ケアとして鼻うがい(鼻洗浄)を取り入れるのも有効です。鼻うがいは鼻腔内のアレルゲンやハウスダスト、ウイルスや細菌、余分な鼻汁などを洗い流し、鼻粘膜を清潔に保つ効果が期待できます。市販の鼻うがいキットや生理食塩水を使用して正しい方法で行いましょう。

大人用300ml鼻うがいボトルを推奨

精製水CPAP加湿以外に、鼻うがい洗浄液用の生理食塩水や寝室の加湿器の水としても利用できます。清潔な状態を保つことが、快適なCPAPライフ・健康管理の基盤となります。

次回は、アレルギー性鼻炎薬の強さランキングをレビューします。(今年は例年より花粉飛散量が多いと予想されています)

文責:総合内科専門医 内藤 修

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