- 11月 24, 2025
- 12月 17, 2025
グレリンとレプチンおよびGLP-1は「食欲を調整するホルモン」です!
内分泌代謝に関係する話題です。
「食欲促進ホルモン」
グレリン
「グレリン」は主に胃から分泌され、空腹感を促し「食欲を増進」させるホルモンです。胃から脳へ空腹シグナルを伝え、視床下部の食欲中枢を刺激して満腹感を減らし食欲を増進させます。また、成長ホルモンの分泌を促進し、消化管機能の調節などエネルギー代謝にも関与します。消化管の運動の促進作用もあります。また、グレリンは血糖値の上昇を促進させる作用があります。グレリンは、絶食により胃から分泌されて血中濃度が上昇し、摂食により長時間かけて血中濃度は低下していきます。
「グレリンを抑制する」には、
①適度な運動
②質の良い睡眠
③ストレス管理
④バランスの取れた1日3回の食事
⑤タンパク質の摂取
⑥加工食品や人工甘味料を避ける
が役立ちます。
①運動は、グレリンを減らす効果があります。

②睡眠不足により、脳はエネルギーが足りないと判断し、グレリンの分泌は増えます。睡眠不足は太ります。
③慢性的なストレスにより、コルチゾールなどストレスホルモンが上昇して、グレリンの分泌は増加します。
④規則正しい食事のタイミング(1日3食)とバランスの取れた栄養素を摂取することは、グレリンの分泌をコントロールするために重要です。
⑤タンパク質を摂取すると、グレリンの分泌が抑制されます。特に「朝食にタンパク質を摂る」と、その後もグレリンレベルを抑制する効果があります。
⑥加工食品や人工甘味料は、グレリンの分泌バランスを崩します。
「食欲抑制ホルモン」
レプチン
「レプチン」は脂肪細胞から分泌される「食欲を抑制」するホルモンで、満腹感をもたらします。レプチンは主に体脂肪の量に応じて分泌され、脳の視床下部に作用して食欲を抑制し、エネルギー消費を促進させ、体重を適正に保つ働きがあります。「肥満」ではレプチンが効きにくくなる「レプチン抵抗性」が起こりやすく、これは食欲を抑えられなくなる原因の一つと考えられています。
ゆっくり食べるという行動は、グレリン分泌の抑制ではなく、むしろレプチン(食欲抑制)の分泌促進と強い関連があります。食事開始から約15分たつと、ようやくレプチンが分必され始め満腹中枢へ働き、過食を防いで痩せやすくなります。
「レプチンを増やす」には、①~④まで「グレリンを抑制する」と同じです。
①適度な運動
②質の良い睡眠
③ストレス管理
④バランスの取れた1日3回の食事
⑦炭水化物の制限
が役立ちます。
①運動は、レプチンの分泌を促します。
②睡眠不足により、レプチン分泌は低下します。良質な睡眠が大切です。
③ストレスを食べ物で解消するのではなく、音楽を聴いたり、趣味に時間を使うなど「食べ物以外でリラックスする方法」を取るとレプチン分泌が促されます。
④バランスの取れた栄養素を摂取することは、例えば卵・アボガドや魚類に含まれるオメガ‐3脂肪酸などではレプチン分泌を促し、食物繊維では満腹感が持続します。
⑦炭水化物を減らすと、「レプチン分泌」と「レプチン感受性の改善」が得られます。
「インクレチン・GLP-1」
GLP-1
「よく噛む」(一口あたりおよそ30回くらい噛む)と、脳の満腹中枢が刺激され、少ない食事量でも満足感を得やすく、もう十分食べたという感覚が得られます。胃の動が遅くなり、食欲は抑制されます。
昨今、「ダイエット薬」で脚光を浴びている糖尿病治療薬・痩せ薬の「GLP-1薬」ですが、リバウンドしやすいGLP-1薬を投与しなくても「30回くらい良く噛めば」自身の小腸から「GLP-1が分泌」されて、食欲を抑えてくれます。

体内中の「GLP-1濃度が高い」ことで得られる効果は、満腹感を感じやすいため少量の食事で満足します。胃から腸への排泄を遅らせるためお腹がすきにくいです。基礎代謝をあげ、内臓脂肪の分解を促進します。よってダイエット効果が効率よく得られます。
「GLP-1を増やす」には、①、④、⑤が「グレリンを抑制する」と同じです。
①適度な運動
④バランスの取れた1日3回の食事
⑤タンパク質の摂取
⑧腸内環境を整える
⑨青魚の摂取
⑩鉄分は適量分を摂る
が役立ちます。
①定期的に運動することもGLP-1の分泌を促進する効果があります。
④朝食を抜くと、1日のGLP-1分泌量が減るため、3食きちんと食べる生活週間が重要です。

⑤タンパク質は、GLP-1の分泌を刺激します。タンパク質を意識して摂ることが大切です。
⑧GLP-1の恩恵を最大限にうけるためには、腸内環境を整えるのが重要です。腸内環境を整えてくれるものに、プレバイオティクス(善玉菌を育てるエサ)とプロバイオティクス(生きた善玉菌)の2種類があり、これらを一緒に摂ることが大切です。2つを組み合わせることで腸活はより一層効果的(シンバイオティクス効果)になります。「プレバイオティクス」の食物繊維やオリゴ糖は、腸内細菌のエサとなります。生きた善玉菌は腸に定着できないので、食物繊維やオリゴ糖をなるべく毎日食べる必要があります。有用菌を届ける「プロバイオティクス」には、酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌、発酵食品などに多く含まれています。生きた善玉菌の補給は腸内フローラのバランスを整え、GLP-1分泌を促し、健康増進に役立ちます。近年、医師が処方する整腸剤の中で「ミヤBM錠(宮入菌)」が産生する酪酸が、「短鎖脂肪酸」を生成し、「短鎖脂肪酸が腸管からのGLP-1分泌を促進する」作用が示唆されています。プロバイオティクス(善玉菌)は、「免疫細胞の活性化、便通の正常化、腸の蠕動運動促進、アレルギーの抑制、動脈硬化の予防、糖尿病の改善、気分改善やストレス軽減、抗炎症・抗酸化作用、歯周病の予防・改善、消化酵素の分泌を助け栄養の吸収向上」などに役立ちます。

⑨青魚に多く含まれるEPAは、GLP-1分泌を増やす効果があります。
⑩鉄分はGLP-1を分泌する細胞を活性化させる効果があります。但し、鉄分の過剰摂取には注意が必要です。
「ホルモンを味方にして食欲をうまくコントロール」
⑪食事に20分、時間をかける
⑫30回くらい良く噛んで食べる
⑬腹八分目になったら食べ切らすに食事を残す
⑪でレプチン分泌を増加、⑫でGLP-1分泌を増加させ、食欲をコントロールすれば、⑬沢山食べきらないことが期待できます。食べ過ぎずに残した食事はラップして冷蔵庫にしまい、次の食事でチンして食べればダイエットにつながり、食品ロスも減り、食費もうきます。

「早食いはダイエットの天敵」
「早食い」は大食いしやすく太ります。満腹中枢がレプチンで刺激される前に食べ過ぎてしまうことや、血糖値が急激に上昇してインスリンが多く分泌されることが主な理由です。
主食のご飯、めん類、パン、パスタなど、炭水化物(糖質)の「過剰摂取」は、急激な血糖値の上昇をもたらします。膵臓は、過剰な高血糖を下げるために、多量のインスリンを分泌します。膵臓は次第に疲弊(ひへい)し、糖尿病の方は病状が悪化します。エネルギーとして消費されなかった余分なブドウ糖は、インスリンにより「中性脂肪やグリコーゲン」に変換されて蓄えられ太ります。
「肥満症や糖尿病」では、食欲を増進させる「グレリン分泌を増加させる傾向」があり、慢性的な空腹感につながる悪循環が懸念(けねん)されています。また、肥満症では血糖値を下げるインスリンが効きにくい「インスリン抵抗性」が増大します。

よって、食事療法や運動療法による「適切な体重管理」は重要です!
次回は、「具体的にダイエットに成功するコツ、健康を維持するために重要な五大栄養素の説明、サプリメントの可否」について深掘りレビューします。
文責:総合内科専門医 内藤 修
